≪飲み会≫

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少々離れてる課長席をちらり、と見る。眼鏡を掛けて少し冷たい印象だが、細面にグレーの混じる髪、あまり笑顔は見たこと無いが、ふと柔らかくなる視線が、もう、むちゃくちゃ優しさを感じて、更に色っぽい。そして仕事が出来て、程よく面倒見が良くて、更に意見や異論があれば上と対等に渡り合う、1課の三城課長。 その奥には我らが2課の課長の上原。ちょいぽっちゃりと言うには遠慮のし過ぎの体型に、三城課長とは逆に人の良さそうな笑顔が張り付いている。が、その笑顔は上司と客のみに発揮されるのだ。部下に対する視線は常に見下した冷たいと言うよりは、馬鹿にされている様に感じる、人望の無い課長。 今回の様な『お疲れ様』会は、うちの会社は、気を使わないように、上司と平の席が分かれている。お酒を注ぎに回るのも、禁止。以前はやっていたらしいけど、最近そうなった。とは先輩に聞いた話。 なので周りは同期か、先輩か後輩。この場では奥に聞こえたらヤバイ話しもOKときてる。こんだけ騒がしかったら、人を2人挟んだら、声なんて聞こえない。 「いやぁ~、たまたま喫煙室で一緒になりまして、で、困ってたら、どうした?って、声掛けてもらって…」 「なんだよ、それ。俺ら1課でもめったにアドバイスなんて貰えないのに…」 そう。三城課長は仕事は出来るし、カッコイイんだが、如何せん冷たいと言うか、厳しい。誰に対しても平等に厳しいんだ。意地悪でもなく、相談すれば答えてくれる。 しかし以前、あまり相談しすぎた1課の新人が、皆の前で 「君は仕事を覚える気が無いのか?それとも俺の命令を聞くロボットになりたいのか?」 と言われ、真っ赤になり、仕事を覚えたい。と答えたら、それ以来質問をしても一切答えてもらえなくなったのだ。 「その質問には以前答えた」 とだけ返答されるらしい。 どんだけ、質問しまくったんだか。そいつはメモも取らずに聞いていたらしく、後から1課の先輩が、同じことを3回は聞いてくるヤツ。と言っていた。
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