2/16
前へ
/40ページ
次へ
  貴子が自治に入ったのは、大学1年の秋頃だった。 それは異例の速さだったが、 貴子の能力が認められたからではない。 そもそも、貴子はそんな目立つ存在ではない。 だが、歩は違う。 貴子の高校からの親友である歩は 貴子とは対照的に明るく、人気者だった。 だから、1年の夏頃から 自治のイベント要員として採用されていた。 そんな縁で貴子も引き摺りこまれるように 自治の仕事を手伝うようになった。 入学当初からカリスマ的な存在だった爽と 年齢以上にその性格で親分肌で慕われていた文也は 既に自治の中心メンバーだった。 学部はそれぞれ別々だったが、 自治で知り合った彼らとは今まで過ごした友人たちの誰より 長く、濃密な時間を共にした。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加