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  汚れた水が零れないように 捻挫した足を引き摺りながら、洗面所へ往復する。 大きな別荘なので、20畳以上の居間と 大きなキッチン。 個室も1階に4つ、2階には8つもある。 一つずつの部屋の空気を入れ替え、 水拭きを済ませると14時になっていた。 「さあ、ここが最後。」 一階の洗面所から最奥の部屋に向かう廊下。 最奥の部屋は昔から爽が使っていた。 その扉を見て、ドキンッと胸が鳴る。 馬鹿馬鹿しいことだ。 それは遠い昔の話。 もう、爽は覚えてもないだろう・・・。 でも、たぶん貴子は一生忘れられない。 ブンッと貴子は頭を振って、下らない感傷を振り払う。
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