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爽は相変わらず大きく表情を変えないまま呟いた。
「・・・・掃除なんてしなくていい。」
ああ、と貴子は少しホッとして笑った。
「大丈夫よ。あと少しで終わるの。
そうだ。和田くんの朝ごはん・・・
昼ごはん?とにかく食事、用意してあるから・・・」
貴子は雑巾を手にしたまま、少し足を引き摺って
洗面所に向かおうとした。
その時、突然、
貴子の身体はグィッと抱き上げられ、
爽は貴子をお姫様抱っこをする。
「えっ?!ちょっと、何???和田君っ?!」
戸惑う貴子は爽の服を引っ張って抗議を示した。
だが、見下ろした爽の瞳に明らかな怒気を察して黙った。
困惑したままの貴子を爽はソファーへ降ろした。
爽は貴子から雑巾を奪って、床に投げつけた。
もう、明らかに爽が怒っていると貴子にもわかる。
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