通天閣に登ったら

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わたしはというと、 美春の妊娠が発覚してからしばらくのあいだ、美春の病院に付き添ったり、保育園では運動会を控えていたりとなにかとバタバタしていて真吾とは会っていなかった。 忙しいだけが理由かといえば実のところ、それだけじゃない。 真吾と会う、イコール美春の妊娠を健介に隠すために真吾に嘘をつかなくてはならない。 真吾はよくも悪くも人の気持ちに敏感で、わたしの顔色など一瞬で見抜いてしまうようなところがある。 真吾に隠し事をバレないようにし続ける、というミッション自体、正直いってまったく自信がない。 久しぶりに真吾と、何回か続けて休みが合った。適当な、理由をつけて2度は断ったが、そろそろ会わないとそれこそ逆に怪しまれてしまいそうだ。 〈今度の休みどっか行こか〉 相変わらず素っ気ない真吾のメッセージに、 〈うん。そうやな〉 と返事をする。 大きなため息を吐き出して、 「ああ、まじでどないしよ」 と呟いた。 〈どこがええん? 俺が決めたらお前また文句言いそうやから、今回はリクエスト聞いたるわ!〉 真吾から、メッセージの返事が届く。 どうしよう、と考えに考えた結果、嘘がばれないようにあまり会話をしなくてよさそうなデート場所を思い付いてすぐ送信する。 〈映画!〉 〈映画?なんか見たいやつあんの?〉 〈ドラえもんの新しいやつか、クレヨンしんちゃんの新しいやつか、仮面ライダー!〉
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