通天閣が見下ろす街で

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見上げた天井には星柄の壁紙が貼られている。 前にこの部屋に住んでいた人が貼ったもので、そのままにされているあたりがなんとも適当なのだけど、わたしはこれが結構気に入っていたりする。 お腹の上に置いたスマートフォンが震えているのを感じて手に取った。着信は小学校の同級生で幼なじみの美春からだった。 「もしもし?」 『あや!仕事終わった?いまあやん家の近くで飲んでんねんけど来る?』 「嫌や。どうせまた合コンやろ?」 スマホを耳にあてたまま、ごろ、と横向きにころがって、赤ちゃんのポーズをする。美春の誘いはいつも急なのだ。 『もー!今日は違うって!あやに会いたいって人がおんねん!』 ごろ。赤ちゃんのポーズからまた仰向けになる。 普段より高いトーンで喋る美春のこのテンションは、近くに男前がいる証拠だ。美人で酒好きの男好き。 それを隠さず「あたし、男好きやから!」と堂々と言ってのける美春の性格はいいと思う。 わたしに会いたい人がいる? 変わった人がいるもんやな。さて、どないしよ。 「いよっ」 寝転んでいた体を起こしながら時計を見る。二十一時半か。 「で、誰なん、それ」 『誰って言ってもわからん人やから、とにかく来て!ジャージですっぴんでもいいから、とりあえず来て!』 わたしが美春と会うときは、いつもジャージにすっぴんだ。それで良いならまぁいいか。ちょうど体がビールを欲していたところだ。 「わかった、行くわ。店どこ?」 『駅前のたこ焼き屋』 「たこ焼き屋で飲んでんの?どんだけたこ焼き好きやねん」 『夜は居酒屋やってんねん。あんた知らんの?どて焼きが美味しいねんで』 「知らんわそんなん」 『とにかく早よ来て!待ってるから!』 「了解。15分で着くわ」 この歳にもなると、飲みに誘える友達は限られてくる。同級生は大半が結婚していて子育て真っ最中なのだ。 美春はこの調子だとまだとうぶん結婚しないだろう。数少ない飲み友達は大切にしなければ。
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