こうりん!

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そこはドラゴンが自由に空を舞い大陸が浮き、魔法が飛び交うファンタジーな世界。 そのとある小さな浮遊大陸の中央で儀式は行われていた。 人工的に規則正しく敷き詰められた石畳の上には不規則且つ複雑な文字と図形、俗に言う魔法陣が描かれ、その中心には石碑が立っている。 黒に要所ごとに金色のラインが張り巡らされたローブを目深に被った神官または祭祀らしき集団が魔法陣を取り囲むように並んでいる。 その様からこの儀式の重要性と重大性が伝わってくるには十分だ。 「…時間だ、始めよ。」 ローブ集団の誰かは解らないが男、それもかなり年を経た老人の渋く野太い声が響きそれに応答するかのように魔法陣の中央石碑へと一人の少女が歩み寄る。 艶やかな銀髪を腰の辺りまで伸ばし、清楚で気品のある真っ白なドレスを身に纏った彼女は石碑へ到達するや懐から取り出したナイフで自らの指を切った。 僅かな痛みの後切り口から血が滲み小さな赤い玉を作るとやがて重力に従い指先を伝い地に落ちる。 少女は目を静かに閉じ両手を石碑にかざし、小さく深呼吸をして口を開いた。 「我願うは者、天命を受け我が地に降り立ち悪神百鬼を討ちその身を以て我らと共に恒久なる発展と栄誉を導きし資格を産まれ持ちし異界の民よ、この我の声が聞こえているなら、感じているなら今ここに召喚者たる我の前に我らが希望の光!勇者として馳せ参じよ!! 我が名はエルテシア・サズン・エルドバンド!! 親愛なるサズン皇国の姫である!!」
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