~第七章  魔族~

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「…お前は、魔族なのか?」 レンが、力のない声で話しかけた。 「そうだよ。オイラと兄貴と二人で来たんだ~。魔王様が、ジュエル・ツリーに破壊の力を送り続けて、やっと人間界と魔界の結界を破ってさ。でも、星の意志に逆らってこっちに来るから、弱いとすぐに死んじゃうんだよ。そこで、オイラと兄貴が選ばれたわけ。エッヘン!」 ホウプと同じくらいの年代だろう。まだまだ幼い。 そのせいだろうか。よく喋る。 「お前、名前は?兄貴はどうしたんじゃ?」 「オイラはオブス!兄貴は他の国に行ってみるって言ってた!人間の魂はたくさん奪ったから、魔王様ももう、充分だって言っててさ。人間界でも住みやすそうな国を探して来いって命令があったんだって。ココはもう、死人だらけだから、別の場所を見てくるって兄貴が。オイラは、お宝でも残ってないかな―と思って歩き回ってたけど…まさか、まだ人間がいたとはね。」 オブスと名乗った魔族の少年は、冷たい瞳で、全員の顔をジロジロと眺めた。 カレジは怯まずに質問をする。 「…人間から奪った魂を、魔王はどうするんだ?」
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