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オブスはきょとんとした顔で答えた。
「食べるんだよ。食べて、食べた分だけ魔王様が長生きできる…そんなことも知らないんだ?」
なんて恐ろしいことなのか。
こうやって、話している時には、まさかこんな子供が、兄とたった二人で、あれだけの国中の人間の魂を奪ったなんて考えられない。
「…んで?あんた達は何してたわけ?な~んか怪しいな~。」
オブスはニヤニヤしながら、ゆっくりと近づいてきた。
「ここの地下はな~んにもなさそうだし?1人でいるのも退屈だったんだよね~。…ねえ!オイラと遊んでよ!!」
そう言いながら、オブスは指先から邪悪な黒い光を放った。
クレオは、腰に下げていた剣でとっさにはじき返した。
すると、黒い光は天井にぶつかり、そのまま天井を破壊した。
がっしりとした石造りの天井の一部が、バラバラと崩れ落ちる。
「カレジさん!ここは俺に任せて、二人を連れて奥に逃げてください!」
「クレオ!!」
「早く!!」
道はひとつしかない。
レンがいた独房へ引き返すしかなかった。
カレジは仕方なく、レンをおぶり、クレオの祖父の手を引きながら、奥へ戻って行った。
クレオは少しでも距離を離そうと、オブスを挑発しながら、カレジ達とは反対の方向へ走って行った。
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