第1章

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薄暗い部屋で俺は目を覚ました。 今の季節は肌寒い。 しどろもどろしながら立ち上がり、俺の左側に存在する自室の窓を開けると、冷たい風が部屋に侵入し室内の温度を下げていく。 さらけ出している肌が痛み出す。 隣で寝ている彼女に視線をやると、やはりというか、平然と寝ている。 彼女は極度の暑がりで、真冬以外基本的に半袖で過ごしているのだ 。 だが一緒に寝たがり、冬は湯たんぽみたいに気持ちが良いのだが、夏は正直きつい。 暑いからな。 そんな暑がりな彼女の頭を撫でた後、ゆっくりと自室から出て風呂場に向かう。 向かう途中、後輩に遭遇した。 竿田真紀。 二十二歳。 俺の部下であり、友人の妹である。 起きたばかりなのか、鼠色のスウェットを身に纏い、髪は寝癖で所々跳ねていた。 「ぜんばぁぁぁい……」 部下である竿田は急に泣きながら抱きついて来る。 俺が異世界に出張する時、必ず泣きながら抱きついてくるのだ。 目から涙をこぼし、鼻水を垂れ流す。 そして俺の寝巻きで顔を拭くのだから達が悪い。 寝巻きが涙と鼻水でべちゃべちゃで、凄く脱ぎたくなってしまう。 まあ、慣れたから良いがね。 「なんで、まだいぐんでずがぁああああ!!ぞんだにわだぢのごどぉぉ!!」 「竿田、落ち着け。なにを言っているのか、解らん。というかだ、毎回きちんと五体満足で帰って来てるじゃないか。期間だって長くない。なにも問題ない、そうだろう?」 ゆっくりと、子供を説得するように頭を撫で、説得する。 「ぞれじぼうフラグでづよおぉぉぉんっ!!」 ああ、駄目だ。泣き止まない所か、音量が更にあがり、この通路に彼女悲痛な叫び声が響き渡る。 皆スマン。 寝ているであろう、部下や同僚に心の中で謝罪し、今だ泣き続ける部下を連れ風呂場に向かう。
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