第1章

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教室を出て、保健室に向かってると向こうから先生が見えた。 アレは…、名前を忘れてしまった。 まあいいか。 私の人生でそこまで大事な人間じゃないだろうし。 「あ、矢崎さん、こんにちは。」 『先生、こんにちは。』 私は笑顔で応える。 勿論、愛想笑いだけど。 だって名前わからないし。 だって好きじゃないし。 「もうお昼食べたの??」 『いえ、体調悪くて…。』 「あら、大丈夫??」 『はい、今から保健室に行こうかと。』 「あ、そうなのね。引き止めてごめんなさい。じゃあ。」 『はい。』 …そう思うなら引き止めるなっつーの。 ああもう……。 イライラしたくないな。 体がキツイし、泣きたくなるもん。 泣くの好きじゃないし。 寧ろ大ッ嫌いだし。 だって、弱い人がする事なんでしょ?? お母さんが言ってたし。 保健室のドアを勢いよく開ける。 イライラを解放するつもりで。 『先生ー!!みっちゃん先生ー!!』 「もう、夜々ちゃん!!高石先生って呼びなさいって言ってるでしょ??あーもう。」 『ごめん、ごめん。』 「もう良いわよ。慣れたし。」 ふふふっと可愛く笑っていつもの様にベッドを用意してくれる。 高石美崎先生。 学校で私のことを唯一理解してくれる先生。 私の秘密も知ってる。 いつも話を聞いてくれる。 大好き。 「夜々ちゃん、今日は??」 いつも昼休みにここに来て色々聞かれる。 何時に学校に来たとか、午後はどうするかとか。 『2時間目に来たよ、午後は行くから。』 「そう。」 『来るまでここで待ってていい??』 「ええ、勿論。侑生には伝えてある??」 『あ、忘れてた。』 「夜々ちゃん、しっかりしてよー。」 『今から電話する。』 「良いわ、私からしておく。」 『有難う。』 うんと優しく笑って電話をしてくれる。 やっぱり2人は優しいな。 ベッドで横になる。 あー気持ちいい。 ふかふかだ。 眠たくなるなー。
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