第1章

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「ちょっと!せっかく汗を流そうと思ったのに何よコレ!人の迷惑考えなさい!」 大量に浮かぶ髪の毛を見た瞬間に私はキレた。 これじゃ湯船に浸かれない。 たぶん、この状況でマジギレするのは私ぐらいだろう。 全裸だし…普通なら恐怖感に包まれ言葉すら出ないはずだ。 なかなかお目にかかれない状況ではあるだろうけど、実家が寺である私にしてみたらお化けなんて日常的すぎて、驚きや恐怖よりも怒りが先に出てしまった。 「出てきなさい!隠れてんじゃないわよ!」 だいたい、どこにいるのかはわかってるんだ。 おじいちゃんの血を濃く受け継いだからか霊感は強め。 「そこにいるのはわかってんだよ!」 まるでヤンキーよろしく 私は鏡の前を睨みつけて視線を逸らさなかった。
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