第1章

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お化けは顔の半分が髪で隠れてるのと俯き加減なのとで実際どうなのかはわからないけど、たぶん二十代…前半ぐらいかな? 悪い霊ではない、確実に。 悪い霊ってのは人の話を聞かない、まず言葉が通じない。 見るからにヤバいのは、目が空洞だ。 だからこの霊はまだ地縛霊ってとこかな… 『驚かせたかった…というか…私はココにいるよって…』 「はぁっ!?もっとハッキリ言いなさい!」 お化け相手に大人気なくキレてる自分。 だって…掃除の事を考えたら、やっぱダルい。 『う…うぅ…ごめんなさい…』 お化けが泣くから、許すしかないじゃん… 「もう…いいよ、ごめんね怒鳴ったりして。あんたも寂しかったのね」 優しい言葉をかけると、お化けはまた泣いた。 「あんた…それ以上泣いて鏡でも割ろうものなら容赦しないからね…」 霊の感情は空間に響く。 だから物が割れたり振動したりは想定内だ。 私の脅しによってお化けは泣くのをやめた。 うん、良い子。 たぶん年上だけど。
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