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夜の目覚めは、いつもサイアクな気分だ。
地震が来る前、本格的な揺れよりも先に、細かい不快な振動が、地面をビリビリッと伝わってくることがあるが。
「それ」は、そのときの感覚を何十倍も強くしたような感じだ。
──その感覚で、オレには、奴らが現れたことがわかる。
目が覚めたらすぐに、いつものように、仕事道具一式を詰め込んだバックパックを背負って外に出る。
夜とはいえ、気温はまだ27度もあって、暑いわ眠いわで吐き気がしてくる。
でも、オレはそれをこらえながら、夜の街を駆け出した。
オレが行かないと……また、誰かが消えることになるから。
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