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オレの名前は、中川奏太。
オレが親父からこの仕事を引き継いだのは、大学へ通うために、一人暮らしを始めた直後のことだ。
夜中に、イヤな気配を感じて飛び起きては、闇にまぎれて化け物退治……
そんな生活を、もう半年近く続けている。
もちろん、この仕事を30年近くもやってきた親父に比べれば、まだまだだとは思うが。最初の頃に比べれば、少しは慣れてきたような気がする。
アパートを1歩出た途端に、鼻の奥に飛び込んできた、ツーンと来るような刺激臭。
それが、奴らの臭いだ。
その臭いをたどっていけば、奴らの居場所がわかる。
オレは、臭いが流れてくる方に向かってひたすら走り続け──そしてついに、人けのない、行き止まりになった小路の奥で、奴らを見つけた。
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