一束 再会

16/16
3237人が本棚に入れています
本棚に追加
/327ページ
「お前こそ」 RAIYAが椿の爪先から頭の天辺まで見ながら、不適に笑う。 「俺のファンなら、歌って貰いたいなら、歌いたくなるような歌詞、考えてみろよ」 「RAIYA!」 「仕方ないだろ? 無駄足じゃなくて良かったな。――行くぞ」 そのまま、嵐は簡単に去っていった。 シャッターの下に、花びらが数枚落ちていて、夢の終わりを告げていた。 その白と赤の花びらを見つめながら、息苦しい衝動に駆られる。 あの日、花を食べてしまった胸の痛みが、する。 この胸の痛みを引きずりながら、次にRAIYAに再会するのは抱かれる時なのを椿はまだ知らない。 何も知らないから、食べたくなるんだ。
/327ページ

最初のコメントを投稿しよう!