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「お前こそ」
RAIYAが椿の爪先から頭の天辺まで見ながら、不適に笑う。
「俺のファンなら、歌って貰いたいなら、歌いたくなるような歌詞、考えてみろよ」
「RAIYA!」
「仕方ないだろ? 無駄足じゃなくて良かったな。――行くぞ」
そのまま、嵐は簡単に去っていった。
シャッターの下に、花びらが数枚落ちていて、夢の終わりを告げていた。
その白と赤の花びらを見つめながら、息苦しい衝動に駆られる。
あの日、花を食べてしまった胸の痛みが、する。
この胸の痛みを引きずりながら、次にRAIYAに再会するのは抱かれる時なのを椿はまだ知らない。
何も知らないから、食べたくなるんだ。
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