プロローグ

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あの日あの歌声を聞いた瞬間に、体は熱を帯び、硬く芯を持った熱情が襲ってきたのを覚えている。 それが恋情とは気づかずに、父が誰かの為に作った渡せず終いのブーケから花びらをむしった。 その花びらは苦くて、濃い香りだけを放っていて。 ――初めて知る胸の痛みを具現化したような味だった。
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