第2章

2/4
前へ
/21ページ
次へ
「あきくん…」 あきくんは僕を一瞥すると、屋上から出て行ってしまった。 僕はあきくんと話がしたいのに。色々聞きたいことがあるのに。追いかけなきゃ…! そう思ってドアノブに手を伸ばす。しかし、聞こえてきた声にドアノブを回す手が止まった。 「あー!彰人、こんなところにいたんだぁ?」 「探したんだよぉ?一緒にお昼食べるって約束してたのにいなくなっちゃうからぁ」 たくさんの女の子たちの猫なで声。 「もしかしてぇ、屋上で食べたかったのぉ?それなら言ってよぉ。じゃあ屋上行こ?」 そう言って足音が近づいてくるが、僕の体は金縛りにあったかのように動かない。 ドアの前に女の子たちがいる気配がする。 (お願い…開けないで…!!) 「あー、ごめんね、別に屋上で食べたかったわけじゃないんだ。俺転校してきたばかりだから、色んなとこ見て回ってたんだよ。ほら、教室で食べよ」 あきくんがそう言うと、 「なんだぁ、そうだったのぉ?じゃあ私たちが案内してあげるよぉ!とりあえず、教室でお昼ご飯食べてからね?彰人のために、お弁当作ってきたんだよぉ」 と、女の子たちは話しながら去っていった。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加