第1章

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僕たちが下に着いた頃には、モテ男はいなくなっていた。 「あ~、名前聞きたかったんだけどな…」 「女の子に聞けばわかるんじゃない?」 「そうか!その手があったか!」 単純すぎる。 「そこのお嬢さん。俺とお茶しませんか?」 聞く内容が違う。 そしてそれはナンパだ、石崎くんよ…。 「すみません、このバカが。ところでお聞きしたいことがあるのですが……」 と、さっきまでここに居たモテ男の名前を聞いた瞬間、僕は固まってしまった。 『え?さっきのイケメン?眞鍋 彰人って名前らしいよ!かっこよかったなぁ…』 眞鍋 彰人――――。 僕が待ち焦がれていた人物。 「お~い、結羽?」 帰ってきた…帰ってきたんだ! やっと…! それにしても、帰国するなら連絡くらいしてくれてもいいのに…。 などと一人言を言っていると、 「結羽!大丈夫か?さっきからブツブツ言ってて気持ち悪ぃぞ?」 と飛鳥に言われてしまった。 「キミに気持ち悪いとか言われたくないよ」 サラッと毒づけば、酷い!と言ってきた。 人を気持ち悪いと言っておきながら、こちらが気持ち悪いと言えば酷いとか… キミのほうが酷いよ、飛鳥。
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