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泣きながら歩いていると、途中、お茶会をしている人形達がいた。足を止め、その様子を見てみた。無言だが、会話をしているよう。僕に気付き、カッ、カカッ…と動いて、僕をお茶会に招き入れた。僕は微笑んだ。作って微笑んだ。人形達はお茶を口にするが、飲めていない。ポッ、ポポッ…とこぼす。それでも、お茶を汲み入れる。そして、こぼす。永遠の繰り返し。お菓子を食べようとするが、食べられていない。ガッ、ガガッ…と散らかす。それでも、お菓子を取り分ける。そして、散らかす。永遠の繰り返し。それでも、表情こそ変えないが、楽しそう。自分が汚れていても、楽しそう。笑っている。笑っている。ソレは異様な光景。コレは異様な光景。僕も笑う。嘲り、笑う。ソレは異様な光景。コレは異様な光景。手足には糸が括り付けられていて、その糸は空から伸びている。動かしている者はいないが、自由でもなさそうだ。表情こそ変えないが、楽しそう。自分が不敏でも、楽しそう。笑っている。笑っている。ネェ、ナゼ笑ッテイルノ?哀レダネ。哀レダネ。
―――一人ニシナイデ。一人ニシナイデ。
一人ハ、コワイ。
一人ハ、サミシイ。
さっきまでなかったはずの其所に、海があった。黒い、黒い、真っ黒な海。全てを呑み込みそうな海。波が何処かへさらって行きそう。何処ニ行クノ?何処デモイイヨ。サァ、此所デハナイ何処カヘ…。僕は海に導かれるように、机と椅子をグォゾン…と倒し、食器をキィリパァーン…と割って立ち上がった。人形達が怒っている様にも見えたが、ソレも跳ね除けた。人形達が悲しい顔をしている様にも見えたが、ソレも跳ね除けた。僕ニハ関係ナイ、関係ナイ…。
―――一人ニシナイデ。一人ニシナイデ。
一人ハ、コワイ。
一人ハ、サミシイ。
ダカラ見テ…。
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