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存在スル意味ヲ、奪ワナイデ…。
生キテ来タ証ヲ、消サナイデ…。
オ願イ。
君ハ、君ノママデ、
傍ニ居テイイヨッテ言ッテ。
いつもと同じ、紫色の草原。いつもと同じ緑色の空。そしていつもと同じ…。僕は梟に手を延ばしてみた。ゆっくり、ゆっくり、腕が伸びる。ゆっくり、ゆっくり、近付く。梟は微動だにしない。それが不愉快で、とても鬱陶しい。壊そうか、壊そうよ?あの見透かしている目を。壊そうか、壊そうよ?あの寄せ付けない鋼の片翼を。今夜の月は、半分顔がナイ。半分のくせに、僕を見下している気がする。壊そう、壊そう、壊してしまおう…。必死デ護ル「モノ」ナンテ、何モナイ。何モ持ッテイナイ…。空ッポ。空ッポ。
―――一人ニシナイデ。一人ニシナイデ。
一人ハ、コワイ。
一人ハ、サミシイ。
ダカラ見テ…。
此所ニイルヨ、此所ニイルヨ…。
存在スル意味ヲ、奪ワナイデ…。
生キテ来タ証ヲ、消サナイデ…。
オ願イ。
君ハ、君ノママデ、
傍ニ居テイイヨッテ言ッテ。
オ願イ。
気が付けば、僕の周りに小さなオモチャの兵隊が群がっている。ドゥグォン、ドゥグォン、ブパァーン、ブパァーン…と僕を攻撃して来る。規則正しく並ぶ、無数の兵隊。規則正しい足音のする、無数の兵隊。皆一緒。皆と一緒。正しいね。正しいよ?潰そうか。潰そうよ?必要ないね。必要ないよ?イラナイ、イラナイ…不要ナモノハイラナイ。壊シテ、捨テヨウ。捨テテシマオウ。梟が飛び立とうと羽を羽ばたかせるので、僕は伸びた手を縮めて、兵隊の群れを蹴り上げて走った。ネジが、手足が、草原に散らばる。音もなく幾つも幾つも崩れて行く。どうでもイイ…どうでもイイよ。僕は笑う。心の奥底から笑う。全部壊ソウ。壊シテシマオウ。イラナイ、イラナイ…不要ナモノハイラナイ。壊シテ、捨テヨウ。捨テテシマオウ。ソシタラ、何ガ残ルノ?
―――一人ニシナイデ。一人ニシナイデ。
一人ハ、コワイ。
一人ハ、サミシイ。
ダカラ見テ…。
此所ニイルヨ、此所ニイルヨ…。
存在スル意味ヲ、奪ワナイデ…。
生キテ来タ証ヲ、消サナイデ…。
オ願イ。
君ハ、君ノママデ、
傍ニ居テイイヨッテ言ッテ。
オ願イ。
貴方ハ、貴方ノママデ、
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