同居人は担任のオネエ?!

12/20
130人が本棚に入れています
本棚に追加
/59ページ
この不況が続くご時世に、こんな……。 「ふう……、お腹いっぱいね」 「美味しかったねー」 あ、そういえばドレス着たまんまやった。 悠緋も正装のまま。 こうして見てると、極々普通の女子高生のあたしには勿体ないくらいカッコいい。 従兄やなんて思えないくらい、色気あるし、肌の手入れなんて普通の洗顔フォーム使ってるだけやのにツルツルしてるし。 過保護なんが玉に傷やけどさ。 「なあ、こんな高そうなホテル大丈夫なん?」 「クリスマスだもん。これくらいはね……」 あたし、別に普通に家で過ごすだけでも良かってんけど……。 慣れてへんからかな? 反対に嬉しかったりするんは、やっぱあたし乙女なんかなー? 「ひまちゃん?」 「なに?」 不意に呼ばれて、内心でびっくりする。 「もっかい、踊ろっか?」 予想外なこと言われて意外に思ったけど、あたしは快く答えた。 ピアノを自動演奏にして、悠緋と寄り添う。 「へへっ」 「なぁにー?」 つい、嬉しくて笑みが溢れた。 「なんでもない」 悠緋もクスッと笑って、リズムに合わせてゆったりと踊る。 いつも一人で過ごしてたはずのクリスマスが、あたしの中で色づいていく。 こんな夜は、生まれて初めてやった。
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!