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「あれっ?
ひまちゃん、ピーマンだめやったんちゃん?!」
後ろから来た悠緋の口に、食べかけの半分を放り込んだ。
「あら、いいお出汁の味……。
静流が作ったんか」
「わかるん?」
「なんたって、うちのシェフやからね」
「あれ?
前にホールしてる言うてなかった?」
三人は思い出したように「ああ」という顔をする。
もしかして、あたしの聞き違いかな?
「それはこいつの気紛れよー。
たまにヘルプで入ってくれる分にはいいんやけど」
「すごいな、こんな美味しいの作れるって!
思わずにんまりしてもうた!」
悠緋と悠人さんが笑う中、静流は照れたんかたじろいでそっぽを向く。
「あ、当たり前や!
俺が作ったんやからな!」
でも、その耳は真っ赤に染まってた。
可愛いとこあるんやなー。
今度、こっそり教えてもらおかな。
「ひま、ちょっとこっちおいで」
「へ?」
悠緋に手を引かれて行った先は、スタッフルームに近い人気のないとこ。
くるっと振り向いて、誰も居ないのを確認するあたり、一瞬にしてあたしの脳内はピンク色になる。
うわ、自分で言うてた恥ずっ!
「向日葵」
「……っ」
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