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結局あたしは腰を下ろした静流に抱えられたまま、吐き気を抑えるのに必死やった。
「いけるか?
ミヤさんにはLINEしといたから」
「ごめん……。
自分で座れるよ」
「歩きもできひんやつが、無理に強がんな」
いや、こんなとこ悠緋に見られるのイヤやから、その前に離れたいだけなんやけど。
さっきも辻鷹さんので、変に嫉妬されてるし……。
「ひま!
……!」
あー、言うてる間に来た……。
「向日葵さん、大丈夫ですか?!」
「悠人、ちょっとごめん」
寄ってきたらしい悠人に断りを入れたのが岸部さん。
「大丈夫?
静流、ありがとう」
「人酔いぽいっす。
冷や汗と歩行困難、吐き気と若干微熱やと……」
バトンタッチみたいに、違う人の身体に抱き寄せられる。。
あ、この匂いは悠緋だ。
「ひま?」
耳元でそっと呼ばれるけど、身体から力が抜けて小さく頷くのが限界やった。
「ひまちゃん、水あるけど飲める?」
薄く目を開けると、冷たいペットボトルを手渡された。
少しずつやけど、冷たい水がスッと流れてきて気持ちいい。
「少し楽になるまで、休むことやね」
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