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「さんきゅ、徹」
「こんな時捺月居ったらえーねんけど、こんな対処法しか知らんくて……」
「いや、助かったわ。
静流も、改めてありがとうな」
「たまたま目の前に居ただけっすから」
静流の声、少しトーンが低いような……気のせいかな?
「じゃあ、俺らここで固まってもアレやから、露店でも見て回ってるわ」
「うん」
岸部さんの機転で、静流と悠人は外に出て行く気配がした。
今度静流に会ったら、ちゃんとお礼言っとかなきゃ。
「ひま、大丈夫?
気分は?」
「ん……、マシにはなった。
ごめんな、悠緋……」
「俺こそ、ごめん。
向日葵の異変に気づけんかった」
そっと額に優しく口付けられる。
返事する代わりに、胸に頬を擦り寄せた。
新年早々倒れてもうたけどその分いいことがありますように。
「悠緋」
「ん?」
「今年も、よろしくね」
頭上でクスッと笑みを浮かべる悠緋。
「よろしくな、向日葵」
甘い声にきゅんとしながら、あたしらの新年は始まった。
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