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年が明けてから冬休み明けるまでは、あっという間やった。
学校が始まる前、個人的に瑞樹と話す機会があって、ルポ・カフェの個室でハワイの土産話も兼ねて婚約のことを聞いた。
相手は小さい頃から付き合いのある、いくつかのホテル経営してる家の次男坊らしい。
今回の旅行にも同行してたみたいで、お互い満更でもなさそう。
「おめでとう、瑞樹」
「ありがとう」
瑞樹は、幸せそうに微笑んでそう返した。
水瀬さんは、そのまま瑞樹専属の執事に留まるらしい。
てっきり、水瀬さんとくっつくんかと思ってたんやけどなぁ。
そんなこと思いながら始業式の為に登校すると、また違った雰囲気の視線を感じた。
「なんやろう……?」
一人で首捻るも、誰も教えてくれないまま昇降口。
目の前に、栗林くんが居た。
「うす」
「おはよう、栗林くん」
「……」
上履きに履き替えて、また視線を感じて見上げると、栗林くんにじーっと見られていた。
なんやろう思って首捻ると、「ぬくそうやな」の一言。
もこもこのストールが、目に入って離れなかったらしい。
「栗林くんもする?
紺とか黒もあるよ」
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