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田崎くんは、結局足首を捻っての捻挫らしい。
でも、これで良かったんかもしんない。
あれは、かなり近すぎ。
こりゃ、カップル誕生続出やろうなー。
「そこの姫」
まさかと思ったけど、どうやら姫はあたしらしい。
「え?
なんで?」
王子様如く跪いていたんは、髪を後ろで束ねてタキシードを着た悠緋やった。
「うそ……」
「どうか、わたしと踊ってはくれませんか?」
差し伸べられた手に、そっと自分の手を乗せる。
ここが学校やなく、誰も知らん人だらけやったらどんなにいいやろうか。
抱きつきたくて、抑えるのにいっぱいいっぱい。
「えっ、うそ、なんで?!」
周りの声なんて知らない。
ぐっと抱き寄せられて、導かれるままに踊り出す。
「なんで……?
教師は生徒と踊らへんのんとちゃうん?」
「杏子ちゃんから電話もらった」
「杏子?」
休んでる杏子が、なんで悠緋に?
「岩田さんからメール来たみたいで、向日葵が一人になるって聞いて……」
やば、泣きそう。
「田崎が捻挫して良かった」
「え?」
「ひまと踊れた」
田崎くん、ごめんなさい。
あたし、田崎くんやなくて、悠緋と踊れて舞い上がってる。
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