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「ひとつ訊いていい? なんでライフルで射たなかったの?」
「375 H&Hでは、威力がありすぎる……
それに、あなたが射ってくるとは思わなかったから、ライフルを構えたのは、あたしのミス。
グロックが間に合わなければ、あたしがヤバかった」
「どういう意味?」
「お兄さんは、よっぽどあなたに死んでほしくなかったのね。
ライフルの撃鉄が下りないように細工がしてあったの」
「あの短い時間で、そこまで調べたのか。さすが一流のプロだ」
「お兄さま。お世辞はいいから、少し後ろを向いていてくださらない?」
いたずらっぽく由香が言った。
「なぜ?」
由香は、返事のかわりにシンディにキスをする。
兄は、咳払いをしながら後ろを向いた。
「由香のキスは、ブルーベリーの味がするわ」
「いいえ。ブラックベリーよ」
――了
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