第1章

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全てを終えれば、彼はいつも、たった一度だけこちらを見る。 そして直ぐに背を向け歩き出す。 彼からの言葉はない。けれど、知っている。 その瞳が、その背が、行くぞ、と。ついて来い、と。そう言っているのを。 当たり前のように向けられる背に、当たり前のようについて行くことを、欠片も疑って いないのだ ということ。 それが本当に、嬉しいのだ。 ……だから私は、その背に遅れずついて行く。 貴方が示してくれる信頼に応えられるよう、揺れぬ眼差しを貴方に向け、ぶれぬ足取り でもって、貴方に、ついていくのだ。 貴方と共に、戦えるよう。 貴方に手折られる可憐な華であるよりも、 貴方の剣と成り共に戦場を駆ける方が良い それが私の貴方への、偽りなき、心。 了 2014/0902(0902) いつもあほほどお世話になりまくっている氷さんに捧ぐ。
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