第1章

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貴方に手折られる可憐な華であるよりも、 貴方の剣と成り共に戦場を駆ける方が良い 「 剣 華 」 ざくり、身を斬り骨を斬る音を背景に、すぐさま体勢を整える。 逆側から向かってきた敵に、戸惑うことなく斧を一閃。 ちらり、視界に映る彼が縦横無尽に刀を揮っている姿に、心配など無用のことと改めて 理解すると、ぐっと手の中の斧を持ち上げ振り被り、遠方に逃げようとしていた敵に向 けて放る。 愛用の武器は狙い通りに敵の命を刈り取り、そしてその場に音を立てて落ちていく。敵 の死体と共に。 肩越しに振り返った其処では、彼もまた最後の敵を屠った処で。 ああやはり、心配など必要なかった。 その事実に、気持ちが昂揚する。 そう、心配など無為のもの。それ程に彼は強く、私を導いてくれる存在なのだ。 そうであってくれる彼が、本当に心強い。それと同時に、心から思うのだ。己が身、己 が心、己が命、全て彼の為に在りたいと。 地に転がる愛用の斧を掴み持ち上げ、一振り。 血を払い落としいつもの形で構え、 視線を彼に向ける。 すれば、彼もまた同じように、刀を振って血を払い落とし、鞘に仕舞った処だった。 伏せていた視線が上がり、こちらを見る。 嗚呼、その揺るぎなく強く在ろうとする瞳が、いつも私を導いてくれるのだ。 その強き瞳が常に此処にあること。 己の隣に、背中越しに、目の前に、在ること。 そのことに、躯が震える程の歓喜を憶えること、貴方は気付いているだろうか。 ――きっと、気付いているのだ貴方は。 知っているのだ。 知っていて、その背を預け信頼を傾けてくれるそのことが、どれ程に嬉しいことかだな んて。 どれ程に、どれ程に、私を生かしてくれることかだなんて。 言葉に、出来ない。
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