下弦の月に寄り添う、流れ星

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「じゃあ、失礼します」 「はい、お疲れ様でした」 頭を勢いよく下げドアの向こうに姿を消した須藤さんに、更に疑問が溢れかえる。 パタンと虚しく閉まったドアを、ぼんやり眺めながらあたしは端を持った。 「何だったの……」 突風が理解出来ないあたしは、また甘玉子焼きに手を伸ばした。 「ご馳走様でした」 お弁当箱を包みながら、「あ」とふと思い出した。 ランチバックをロッカーに戻し、カバンからスマホを取り出す。 メール? 誰かな。 『ごめん、終わりにしよう』 その文を見て、ため息を一つ漏らす。 昨日抱いたくせに。 ……次、探さなきゃ。 一つに纏めた髪を結い直してから、スマホをカバンに無造作に放り込んだ。
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