仮面の下に、伝う涙

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「何固まってんだ、駿」 「え……あぁ、……何でも、ない」 1人の友人が須藤さんの近くに行き覗き込むと、目線を泳がせあきらかに挙動不審の様子。 えっとー…… これは知らんふりした方がいいのかな? 須藤さん合コンなんて来そうなキャラじゃないのに、来るんだなー。 やっぱ外見と内面は違うかのかな。 どうでも良いことをあたしなりに考察し、とりあえず何事もなかったように須藤さんから目線を外した。 「キャーっイケメン! どうぞ隣開いてますっ」 すぐさま須藤さんに食いついたのはナナ。 イケメン大好き、狙ったターゲットは逃がさない。 ナナは須藤さんの手を強引に引き、自分の隣に腰を下ろさせる。 「何飲みます?」 メニュー表を差し出しながら距離を詰めるナナに、アタフタ戸惑っている須藤さん。 「じゃあ生で」 「はい」 語尾にハートが付きそうな返事をするナナは、どうやらロックオンしたみたいだ。
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