仮面の下に、伝う涙

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え? ……何? 「駿さん?」 「あ……いや」 ナナが不思議そうに顔を覗き込むと、須藤さんはハッと我に返ったようにまた挙動不審になった。 「何だよ、須藤~もう酔ったのか?」 「そういや顔がもう赤いぞ」 からかうように野次を飛ばす周囲に、また背中を丸める須藤さん。 「須藤ってば何だよ。 一華ちゃん届いたよ。ありがと」 「はい」 友達が分からないなら、あたしになんて尚更分からない。 あたしはそんな事を気にもとめず今日からの相手を確保できた事に、安心感を得ていた。 「二次会行く人ーっ」 居酒屋の前でいい大人がワイワイと騒ぎこれからの行動を決めている姿は、なんと滑稽だろう。 色んな店が建ち並ぶ道路に大きく輪を作り、赤らめた顔でだらしなく笑っているメンバー。
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