仮面の下に、伝う涙

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「一華ちゃん……行こっか」 耳元に口を寄せ声を潜めるヨシキに、あたしは頭を少しだけ下げた。 今日はそんな気分じゃないけど…… あたしが呼んだ時に来てくれないと困るし。 しょうがないか。 「悪い、俺達抜けるわ」 承諾を得たヨシキは待ってましたと言わんばかりあたしの手を握り、空いた方の手で挙手をした。 一斉に視線があたし達に集中し、思わず肩をすぼめる。 「んだよ、1人抜けかよー。しかも一華ちゃんとかズリー」 「これからどこ行くんですかーっあ」 酔っ払い達はヨシキに詰め寄り、肘で胸の辺りを小突く。 ヨシキは「いや~」と照れながらもまんざらではない様子で、上げていた手を下ろして顎の辺りを所在なさげに弄んでいた。 そんな様子をみて誰にも気付かれないように軽く息をはく。 「もういいだろ?」 ヨシキは酔っ払い達を振り払い、握っていたあたしの手をグイッと引っ張り歩き出した。
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