太陽と月

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『なに?』と聞くほど鈍感じゃないし、そんなにあたしはヤボじゃない。 そんな改まってから、手つなぐとか…… ちょっと恥ずかしいじゃない。 否応なしに手をかっさらってくれた方が、どれだけ楽か…… 時間を置けば置くほど羞恥心が伴い、手を差し出しずらくなる。 あたしは一回視線を外して唇を少し噛み締めてから、ゴツゴツとした手のひらに自分の手を重ねた。 「行きましょ」 フッと柔く笑う須藤さんに包まれた手は、暖かくて心地良くて。 雲の上を歩いているような、フワフワした気分になった。 ラーメン屋があった通りとは違い、目的地までは賑やかな大通りを渡るらしい。 行き交う人達は酔っ払いやカップル、多種多様。 初々しい中学生カップルみたいなあたし達を、誰も気にする人はいなかった。 「……宇佐美さん」 「はい?」 肩を並べて街中を歩いている途中、隣からごもついた声がかかる。
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