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「お待たせしました!ここです」
ラーメン屋から歩く事5分。
須藤さんの目的地につく頃には、耳が悴んで冷たさを感じなくなっていた。
「わ……あ」
その光景を見た瞬間、思わず歓喜に満ちた声が漏れてしまう。
視界いっぱいに広がる、色とりどりのイルミネーション。
木々に飾られる電球や、サンタやトナカイをかたどった物が綺麗に発色している。
まるで公園全体が周囲とは切り取られた、別空間のように感じた。
「綺麗でしょ?」
この光景にその場に佇んだまま見惚れていると、隣から声が振ってきてハッとする。
「はい、すごく」
「ここ冬季だけイルミネーションやってるんです」
「へえ、よくご存知ですね」
サラッと、何の気無しにそう漏らすと。
須藤さんは口をパクパクさせ、突如慌て出した。
「ち、違いますよっ?!女の人連れて来たことなんてないですからね?
雑誌でたまたま見かけて……」
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