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「……あたし何も言ってませんよ」
「えっ、変な方向に勘ぐられているかと思って」
「全然思ってません」
キッパリ切り捨てると、須藤さんは肩を縮こまらせしんみりとした空気を漂わせる。
……本当に面白い、須藤さん。
Sっ気なんて持ち合わせてないけれど、手に取るように次の行動が読めて、それが面白く感じた。
とても年上とは思えない。
天然という訳じゃないと思うけれど、どこか抜けた所があるし。
仕事中はキリッとしているかと思えば、プライベートではほんわか和んだ空気に包まれている。
でもそれが逆に、あたしの心を落ち着かせてくれる。
波が乱れることなく、穏やかでいられるんだ。
それを裏付けるように
須藤さんといる時は、一度もあの出来事を思い出したりなんかしていない───。
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