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「だから……さっきも言ったけど」
須藤さんと別れてお風呂も済まし、頭にタオルを巻いてベットに寝転がったまま。
ナナのキンキン声に、何度も同じ文を繰り返していた。
天井にボンヤリ視線をやると、うっすらとしたシミが点々と浮かんでいる。
『あたしが須藤さん狙ってたのに!』
「……だからごめんって」
『親友のターゲット横取りとかズルいよ』
ナナは人や物に執着しないタイプ。
まさに来るもの拒まず、去るもの追わずの典型的な。
ターゲットを取られたからといって、こんなに食い付いてくるナナは初めてで、正直どうしたらいいか戸惑う。
それにあたしから行った訳じゃない。
だからどこか、理不尽に感じてしまった。
「……ねぇ、ナナ。何でそんなに須藤さんがいいの?」
ため込むことが出来ないタイプのあたしは、言葉を濁すことなくストレートボールを投げた。
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