第1章

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第1章

触れ合った舌先はザラザラと痺れる様な快感を運び、離れた唇から糸を引くソレは薄暗い明かりの中で煌いて、静かに空気の中に溶ける。 絡みつく吐息、仄かに香るアルコールが鼻腔をついて鼓動を早め、ゆっくりと互いの体温を高めていった。 「レオナ…ちゃん…」 嗚呼。 もっと、あたしの名前を呼んで。 もっと、その手の温もりを伝えて。 貴女のその声は、体温は、あたしの中にある歪み切った欲望を駆り立てた。 「好きだよ、ケイコ。」 潤んだ瞳に急かされたあたしは艶やかな唇を押し退け、想いを奥へとねじ込んで─── 「ってなによ、これっ!」 「何って、こんなんだったら良いなー的な私の欲ぼ……もとい、天から舞い降りた新作の着想だよ? タイトルは【経夜とブラウスとあたし達】っていう…」 「タイトル際どっ! いや、じゃなくて、何であたしらの名前なんだって聞きたいんだけど!?」 「……。 ぽっ」 「頬を染めるな! 見詰めるな!!」 先程まで読んでいた原稿を思わずぐしゃりと握り締め、あたしは目の前の幼馴染であり仕事の相手であり天敵であるケイコに向けて思いっきり声を張り上げた。
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