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ケイコがおつまみを用意している間に、あたしはお手洗いへと向かった。
紅茶で水分をとったせいかもしれないけれど、何だか妙に全身がムズムズしていたからだ。
事が済み、洗面所で手を洗ってリビングへと戻ると、既に幾つかの料理と年代物らしき赤ワインがテーブルに準備されていた。
「ほら、座って座って。」
満面の笑みを浮かべるケイコに促されるまま腰を下ろそうとして───
「ぅぁ…っ!?」
しかし、普段なら気にもとめないような衣擦れによって、全身に走る妙な快感に悶え、思わず声を漏らしてしまう。
「どうしたの?」
「い、いや…なんでも。 …それより、まずは乾杯!」
彼女の追求を避ける様に目を逸らして座り、既に注がれていたグラスを手に取って首を傾げる彼女のソレと合わせた。
カチン、とまるで合図の様な音が鳴り響き、ケイコの笑みの奥…その瞳には何処か怪しげな光が灯った様に見えたけれど……まぁ、気のせいか。
気を取り直して一口、一口と飲み進めると、確かにケイコが言う様に美味しい。
ほんのりと、アルコールが体温を高めていく。
…今日は、やけに酔いが早く回ってる気がした。
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