8人が本棚に入れています
本棚に追加
「───苦しいの?」
ケイコは息がかかる様な距離まで詰め寄り、酔っても尚鈍らない感覚を刺激する様に頬を撫でる。
「…でも、大丈夫。 これから何も考えられないくらい、気持ち良くしてあげる。」
「何、言って…」
彼女が何を言ってるか分からず、あたしはなすがまま、頬に触れた手によって強引に視線を合わせられてしまい、
「結婚するって約束したんだもん。 …だから絶対に…絶対に、逃がしてあげない。」
「けい、こ…?」
戸惑うあたしを他所に、ゆっくりと二人の距離が縮まる。
「あの原稿みたく、私の事しか考えられなくなるまで、ね…?」
そのゾッとする程の妖艶な笑みに魅せられ、あたしは身動きもとれない。
触れ合う唇。
絡みつく肢体。
全身に走る謎の疼き。
彼女の体温を感じ、吐息に触れ───そうしている内、気付けばあたしは抵抗するどころか、
「好きだよ、レオナちゃん。」
「…。 それじゃ、逆じゃない…」
自らその艶やかな唇を引き寄せてしまっている。
「あたしも、好きだよ…ケイコ。」
鈍り切った思考のせいか、その事に疑問さえ感じないまま…ただただケイコに溺れていった。
最初のコメントを投稿しよう!