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「あぁ、その、ケーキでも食べながら……ごめん、えっと、何?」
ボブの鋭い視線に歯切れの悪い言葉を返し、ポニーはその尻尾を弄る。ため息を吐き、幾ばくかの沈黙を持って、ボブが口を開いた。
「正直に言って……私の事、どう思ってるの?」
私の予想は見事的中する。困った事になった。これではコーヒーを催促できない。そんな私の背中越しで、二人の修羅場が続いていく。
「………………と、友達だよ! 一番仲の良い友」
「どうして、そうやって嘘つくの……!?」
「嘘じゃ、ないってば」
「……私は、友達以上の存在になりたいと思ってるよ」
「……馬鹿っ、そういうのって、ダメでしょ」
「ダメなのは優(ゆう)の方だ!」
感情が高ぶり過ぎたらしいボブは、遂にテーブルを叩いて立ち上がった。私の視界で、ボブのグラスの水が溢れる。
「そんなにマリーが大事なの!? あの子に、女の子同士とか気持ち悪いって言われてから、急に余所余所しくなってさ! 自分の気持ちに嘘ついてまで、私を切ってまで関係を守りたいの!?」
「馬鹿、水面(みなも)、声大きいって」
「またそれだ! 優は、何時も回りの目ばっかり気にしてる! 私が一番とか調子の良い事言ってさ、結局、自分が一番可愛いんでしょ!? 本当は、私なんてどうでも良いんだ! 最初から、都合の良い遊び道具とでも思ってたんでしょ!?」
「ッ……! 水面、いい加減にしろよ! 何時も何時も迷惑なんだよ!」
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