【一、プロローグ。】

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 極寒の冬が終わり、暖房器具も不必要な気候になって快適に過ごせる春がやって来た。  そんな、ある日の。ある高校生の。ある夜の出来事。  「ティッ、ティッ、ティッシュ~ッ!」  まさか、深夜二時に叫ぶとは思わなかったぜ。こんな台詞。  まぁ、そのなんだ。言い訳しているわけじゃないんだが、単純に思春期にありがちな家族の寝静まった頃に秘密裏に遂行する、深夜の一人作業用のティッシュを用意していなくて慌てたわけじゃない。  なんか、もっとスゴイ出来事が俺の目の前で繰りひろげられたのだった。  女の子が突然、目が眩む程の閃光と共に空中から姿を現したからである。しかも、黒いエプロンドレスに黒のニーソックス、いわゆるメイド服姿でというオプション付きで。  これだけなら驚くだけで済むんだけど、俺のベッドの上の掛け布団に顔を突っ込んだ状態で着地し、こっちにお尻を突き出した状態でってのはいかがなものか……。しかも、これに関してはパンツ丸見えのオプション付きで。  普段クラスの友達で回し見しているエロ本やエロDVDで見るパンツとは違って、生で見るとこんなに破壊力があるのか! 胸を張って言う気はないが、興奮した!   これは、思春期真っ只中の高校生だったら鼻血も出るわ。それもたっぷりと。  まさか一人作業の後片付け用のティッシュが鼻血を拭くためのものになるとは思いもよらなかった。
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