咲弥と無知

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食事中は色んな話をした。 「敦士は保育士になりたいんだよな?その辺の勉強会全部出てるわけ?本もよく借りていくし」 「そうですね、なるべく早い時間の授業を取ってます。夕方まで子供たちと遊ぶので」 「俺子供嫌いだからその辺わかんねーけど、よく勉強してるよな」 「ここの教師になりたくて」 「へー」 「あ、咲弥さんは頭いいんですよね?聞いた話によると、何ヵ国語も話せて天才って言われてるんですよね、華が言ってました」 「おーそりゃ株をあげてくれるいいやつじゃ、ま、正直もう受けられる授業ないから勉強会もやめたいんだけどね、だって先生が話すより俺が話した方がわかりやすいんだもん」 「はー、さすがです」 無知は小さく拍手をした。 「無知君はどうだい?新しい先生」 「はい、いい先生だと思います、授業はまだ難しくて何度も同じところ聞いちゃいますけど、嫌な顔しないですし」 「武人先生だろ?僕も昔は教えたもらってたよ、よく生きてく上で大事な事を教えてくれたなぁ」 敦士さんは遠い目をして話した。咲弥さんも、 「俺も馬鹿だったら凜先生独占したいよ」 笑い声が飛ぶ。なんだか素敵な時間に思えて、嬉しい。 「無知君もわかんないとこあったら俺に聞いてみ?わかりやーすく説明しますよ」 「あはは、じゃあ咲弥さんが先生ですね」 「いいねぇ先生って呼び方、気に入った!」 敦士は咲弥を見て安心した、兄弟って思われてるの嫌だって言ってたから、今笑っててよかった。 しかし咲弥はそんなこととは裏腹に、AVで先生と生徒ものが出来るとアホなことを考えていた。 「そろそろ授業だから行きます、無知君またね!咲弥さんもまた」 敦士は食堂からいなくなった。俺もそろそろ図書館交代しないといけないな。 「俺達も行こうか、俺は図書館だけど」 「あ、じゃあついでにまた本借りたいです」 「お!了解ー」 じゃあ行くか!と、咲弥さんが手を繋いできた。でも嫌だとは思わず、少し嬉しい自分がいた。 こんなこと考えられるくらいには大人になったのかな?よくわからないけど。 図書館で夜勤と交代して咲弥はいつもの椅子に座った。 その間無知は絵本を物色していたり、カードで好きなものを選んで探したりしていた。 何だかいつもの日常に戻っちゃったなぁ…つまらん。 まぁ仕方ないか、手を繋げただけで今日はよしとしよう。
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