咲弥と無知

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今日初めて咲弥さんと手を繋いだ。自分でもよくわからないけど、凄く安心した。 咲弥さんだけ特別なのかな?よくわかんない。敦士さんとも出来る気がするし、考えてみても気持ち悪いとか全然思わないし。 「よくわかんないなぁ…」 そんなこと考えながら、お目当ての本を見つけた。今のクラスなら読めると先生に言われた本だ。 パラパラ捲ると、言葉にマーカーが塗ってあったり下に言葉の意味が書いてある。これなら一人で読めそうだ。 鼻唄を歌いながら絵本の棚も見る。新しいのが入ってるなぁ、あ、大人も楽しめる絵本かぁ…イラストも可愛いしこれも借りよう。 本を読むのは凄く楽しい、色んな考えを持っている作家さんとかは尊敬してしまうし、納得してしまう。 「これくらいかな?」 三冊持って咲弥さんのところに行った。 「お願いします」 「はいよー」 何か前と関係戻っちゃった気がするけど、きっと違うよね!多分…。 そんなこと考えながらカードを機械に挿して、はいどうぞと無知に渡した。 「ありがとうございます」 「いえいえ、仕事ですから」 笑ってると、借りたら直ぐに部屋に戻る無知が立ったままだ。 「ん?どうした、何か忘れた?」 無知は下を向きながら 「もうちょっと話してたいです」 と言った。 もう咲弥は信じられなくて、頭の中でピースして、可愛いでーす!と叫びたいくらいだった。 「いいよー、隣座りな」 口では冷静だけど中身は真っ赤。 カウンターの中に入ると、無知が邪魔だったら言ってくださいと言ったので、そんなわけないでしょと、何故か無知の方向を見れなくてボソッと言った。 図書館に来るやつは大体決まってる。眼鏡かけてるまーちゃんや背の高い辰や色々。俺は愛想はいいので、大体皆と話す。 ふっと無知が入り口を見ると、そこには辰がいた。 「あれ、辰さん」 「へ?何々?知り合い?」 「例の勉強会の人です」 「あ、あー!あれ辰のことだったの?!全然気づかなかったわー、確かに勉強会参加してるって言ってたけど」 辰が言う。 「あの…咲弥さん、俺はそこの子とは仲良くもないので…」 「そーなの?好き嫌いはいかんよ君、こーんなにいい子なのに」 「…なんすか?惚れてるんすか?」 辰はどうでもよさそうだった、本当に無知とは仲悪いんだな。
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