5人が本棚に入れています
本棚に追加
「惚れてる」
俺がハッキリ言うと、辰と隣の無知は俺の顔をビックリして見た。
「…なーんちゃって!」
予想以上の沈黙に、耐えられなくなりつい本音が出てしまったのを後悔しながら舌を出しておどけてみた。
「はー、ビックリしました」
「ドキッとした?ね?ね?」
「…アホらしい…」
「んだよ辰!お前より俺のが先輩なんだぜ!?いくら同じ歳でも許さんぞ!」
「あー、すみませんでした、じゃ、本選ぶんで」
「何処にでも行ってこい!」
手で追い払うマネをしていると、無知が話しかけてきた。
「ごめんなさい…なんか悪いことしちゃったかな?居たのがいけなかったのかな…」
「なーに気にしてんの、相手は辰だよ?ここは今の時間は俺の空間、好きなやつだけこちらへどーぞー」
無知は笑う。俺はおどける。そんなんでも幸せだし、満足。
あぁ、華の言ってたことが何となくわかってきたなぁ。
一緒にいるだけで幸せ、いいねー、最高じゃん。
ん?そういえば
「辰がクラスの奴だったってことは、辰が凜先生を好きだったわけ?」
「はい、そうなりますね、本当に付き合えたのかな」
さっきの辰の顔が浮かぶ、別に舞い上がってるわけじゃなさそうだし、…まぁもともと感情が出にくい顔だけど。
そうしてると、大学入試の過去問の本を三冊ドンッと机に置いてきた。
「お前これ全部やんの?どうしたの?いきなり勉強目覚めちゃった?」
「いえ、お嫁さんを貰うので、社会に出て稼げるようにしたいと思って」
…お嫁さん?
「お嫁さんて凜先生?」
「よくわかりましたね、彼女もうすぐ性転換手術をするので、もう結婚出来ますから」
「マジで!?超いいじゃん!これって喜ぶべき?憎むべき?」
「別に御祝いしてほしいわけじゃないので…」
最初のコメントを投稿しよう!