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「辰くん」
辰は呼び出した噴水のベンチで、何か考え事をしてたみたいだった。
「凜先生…」
「どうしたの急に?」
「恋人が会いたいって言ったら変ですか?」
「それは…」
言葉が詰まってしまう…相変わらず視線は鋭くささるし、一見怖そうに見えるのに、まだ初な少年だ。でも私の彼氏。
ベンチで隣に座ると、辰くんは真っ直ぐ前を向いている。
その横顔を見て、少しときめく。
何を考えてるんだろう、その顔をよく見てもわからない。
しばらく沈黙だった、お互いどうしたらいいのかわからなかったから。
「凜さん」
「な、何?」
「俺は凜さんが大好きです、愛しています」
「辰くん…」
「だから凜さんにもそう思ってもらえるように頑張ります」
「辰くん、私はね、まだ忘れられない人がいるの、もう何年も経つけど、どんなに傷つけられても…好きだったんだ」
辰は黙って聞いている。
「だからね、私は恋愛が怖いの、本気になって捨てられたら私もう耐えきれないから…、辰くんは今見えないだけで、外に出たらもっと…」
「またその話ですか、俺は言ったじゃないですな、あなた以上の人は居ないと、どんなに嫌われても愛していることは変わらないこと、外に出るのもあなたの為に出るんです、俺は立派になって、凜先生に対当する大人になりたいんです」
全てあなたのためです…。
辰くんは恥ずかしがらずに、淡々と話した。それが私には恥ずかしくて、仕方なくて、さっき考えてたことが頭から消えていく。
目に刺さる視線。
本当に好きなの?私を捨てたりしない?
「結婚してくれるの?」
「あなたがいいなら結婚式をやりましょう、白くて綺麗なドレスで」
凜は心の何処かで、ウェディングドレスが来たいと思っていた。
長年の夢が叶う。
隣には辰くんがいて、周りは友達と先生だらけで。
幸せってこういうことをいうのかな…。
信じていいんだよね?辰くん。
「凜先生、涙が…」
私は気付かず泣いていた。水城先生じゃない、私を幸せにしてくれる人。
やっと出会えたの?私運命とか信じちゃうよ?
辰くんは私にハンカチを渡した。
「ありがとう、ありがとう、でも私完璧な女にはなれないのよ…それでもいいの?子供も産めない、出来損ないの私を」
「先生なら何でもいいです、愛しています」
そんなこと言われたら…
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