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「…辰くんは格好いいね、きっと凄くモテるよ」
「あなたにモテないと嬉しくないです」
嬉しい、凄く嬉しい、また泣きそうになる。
「捨てない?私のこと、好きだって本気で信じていいの?」
「何度も言わせないでください、俺はあなたが好きです、生涯愛します」
そう言うと辰くんは私を抱き締めた。私は最初は焦ったけど、ゆっくり辰くんの背中に手をまわした。
こんなの初めて…。ドキドキして仕方ない。
もしかして辰くんは慣れてるのかなと思ったけど、早い鼓動を聞いて、あぁ初めてなんだと思った。
そんなの私だって初めてだった。誰にも心を許さなかったから。勿論身体も。
だから今この時間が永遠に続いてほしいと思った。
頭一個分違う辰くんは優しく私の頭を撫でた。その瞬間、私のこと好きなんだと今更感じ、私もそう思った。
身体が離れると、少し名残惜しい。何だか変な気持ちになる。でもこの人に全て任せよう、私は愛されてる。
上を向いて、目を閉じる。覚悟は決めた。
辰が肩に手をおく。顔が近づくまでの時間が酷くもどかしい。
唇が重なる。
凜はファーストキスだし、辰もそうだった。キスされて、また抱き締められた。それが安心して、幸せで…。
ふわふわしてる私に、辰くんは愛していますと繰り返していた。
もっと強く抱き締めて、この温度忘れたくない。
明日も明後日も、抱き締めていたい。焦ってしまうけど、こういうのはゆっくりの方がいいのかな?
私はよくわからない、こんなことになったのは初めてだから。
すると、辰くんが抱き締めるのをやめて、私の顔を覗きこんだ。私は真っ赤になりながら、見ないでと言うけど、辰くんには届かない。
「凜先生、赤くなってて可愛いです」
「だ、だって初めてだったから…」
「それは僕もです」
「そうなの?」
「凜先生に初めて会ったときに、初めては先生とって決めてたんです」
「辰くん、ずっと想っててくれてたの?」
「はい、話しかけられませんでしたが」
「どうして?」
「あなたは俺にとっては高嶺の花でしたから」
「…そんなこと言わないで、恥ずかしくなる…」
「すみません、俺正直なんで」
「…いいよ、私全然気づかなかったけどさ」
「無知とかいう奴は気づいてたみたいですよ」
「え!そうなの?」
「あいつあぁ見えて鋭いみたいですね」
「そっかぁ…もう勉強会では会わないからなぁ…」
「そうですね、仕方ないです」
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