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「ま、俺が言うように身体を壊してるのは本当らしいよ、風邪気味だって言ってたし」
「風邪かぁ、でも風邪で吐くかな?」
「よーわからんが、本人が言ってたんだし、大丈夫じゃね?」
「んー、そうだね、あとはゆっくり休んで欲しいんだけどね、顔色悪すぎだもん」
「そうだな、俺から言っといてやるよ」
「そう?ありがとう、皆心配してるって伝えておいて」
椿はニコッと笑うと、次の勉強会に行ってしまった。
取り残された図書館で、瞳が潤んでる、泣くなって、あいつが日常生活したいんだから、邪魔するな…泣くな、泣くな。
本当に悲しいのは、ドン底なのは彼方なんだから…。
「俺に出来ることなんて一つもねぇよ」
そう、誰も何かを出来るわけじゃない。悲しむだけ、辛いだけ、泣くだけ。
彼方が死んだら、皆どれだけ悲しむか…あいつはわかってないのか?
俺は知ってるけど、知らない椿と華ちゃんは…きっと後悔する。
あの時気づけば…と泣くだろう。
俺はそんなかで平常心を保てるだろうか…無理に決まってる。
そのうち部屋から出られなくなって、緊急入院して、それから皆やっと気づくのだ。
悲しいなんてもんじゃないよ、彼方。
やっぱ言っといた方がいいよ。
メアに会いに行くときは、鏡で顔色見て、ファンデーションで隠す。ちなみにファンデーションは病院から頂いた。
痩せたのは隠せないから、わざとダボダボの服を着る。
そんな用意をしてから、会いに行く。
「こんにちは、メア君今大丈夫ですか?」
まずは林に聞くけど、最近は聞かなくても入っていいよと言われる。
中に入ってメアを見て安心する。
「今日は顔色いいね、ずっとね、メア君と心配してたんだよ」
よかった、ファンデーションだって気づいてない。
「彼方さん、少しいいですか…?」
メア君から話しかけてもらうのは初めてで、どうしたのって平常心を保って聞いた。
「何で嘘つくんですか?」
「え?嘘?」
「本当は苦しいんじゃないですか?僕に会うために元気を装ってる気がします…」
この子は鋭い、でも返す言葉が見つからない、しばらく沈黙で、やっと話せた。
「苦しかったらここに来ないよ、僕もたまには元気ないときもあるから、心配しなくていいんだよ?」
でもメアは気づいていた、ファンデーションで隠れた下の顔色に。
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