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「そこまでして…何で僕に会いに来るんですか?」
言うことは決まっていた。
「初めて会ったときから、好きだから」
メアはビックリして、僕の顔を見た。林も驚いてる。
林のなんとなくが現実に変わった瞬間だった。
「…その、何で僕なんか…」
メアは焦っている。
「初めて会ったとき、ずっと探してた気がしたんだ、周りがどうなろうと、自分でも笑っちゃうけど、これが初恋なんだ」
メアは彼方を見て、それが現実なんだとやっと理解した。
「好きだから多少無理しても会いたいし、少しずつ君をわかりたいと思ってるから、だから毎日来るんだ」
林はどうすればいいのか慌てていたけど、今はメアと彼方の問題だ。
口は出せられない。
「好きって、僕は…恋愛だと思ってませんでした」
「うん、それでいい、気持ち伝えられたから、満足」
身体中が痛みと戦ってる中、彼方は笑顔だった。
「じゃあ、もしもう会いたくないなら僕は会いに来ないし、もし読んでくれたなら飛んでやってくるから」
それだけ言って、彼方はカウンセリング室を後にしようと思った、その時
「僕、…会えなくなるの嫌です、やっと少しは人慣れしたのに、彼方さんのおかげなんです…だからもう…来ないなんて言わないで下さい」
林はビックリした、メア君がこんなこと言えるまでに成長していたとは…確かに彼方君と話せるようになって日々少しだけど対人慣れしてきたから…。
メア君にも特別な存在なのか。
「メア君…」
「好きってよくわかりません、でも彼方さんと話す時間好きです、だから…」
「…ありがとう、メア君」
それはどこか悲しそうな瞳だった。まるでもう遅いというような瞳。泣きそうな瞳。
あぁ、メア君はこれに気づいていたのか…。
「でも無理してもってのは嫌です、明日は来ないで部屋で休んでください、元気になったらまた遊びに来てください…」
「…うん!」
その少しの沈黙は、何かを訴えようとしているように感じた。
「じゃあ今日はもう帰って部屋で休むよ、ありがとう、メア君」
ドアを閉めると、崩れ落ちた。
メア君にとってようやくいい関係になったのに…もう遅いよ。遅いんだよ何もかもが。
彼方は身体を引きずるようにエレベーターを目指した。我慢してた痛みがのし掛かる。
「点滴…」
するとエレベーターが開き、中には悪魔が乗っていた。
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